みんなに好かれようと思う方へ。~大阪難波心療内科コラム

◆ 「みんな」なんて、実は存在しない

私たちはつい「みんな」という言葉を使います。
「みんなに好かれたい」「みんながやってる」「みんなに合わせなきゃ」。

でも、よくよく考えてみてほしいのです。
その「みんな」って、誰のことなんでしょう?

実際には、「みんな」という人は存在しません。
いるのは、ただ一人ひとりの“個人”です。

100人いれば、100通りの価値観、100通りの正解がある。

それなのに、「みんなに好かれよう」と思えば思うほど、
自分が何者なのか分からなくなっていきます。


◆ 「嫌われたくない心理」は自然なもの

人に嫌われたくない。
それは、人間の本能ですので当たり前のことです。

心理学では「社会的承認欲求」と呼ばれ、
人は集団の中で受け入れられることに強い安心を感じます。

人類の歴史をたどれば、
“仲間に入れてもらえるかどうか”が、生存に直結していました。
だからこそ、私たちの脳は今でも「他人からの好意」に敏感なのです。


◆ 「全員に好かれる」は、幻想であり呪い

どんなに優しい人でも、
どんなに努力しても、
全員から好かれることはできません。

あなたが笑顔で接しても、
その人がイライラしていたら、冷たく感じるかもしれない。

あなたが優しく励ましても、
「押しつけられた」と受け取る人もいる。

他人の感じ方までコントロールすることは不可能なのです。

だからこそ、「全員に好かれる」という目標を追いかけるほど苦しくなってくのです。


◆ まとめ

「みんなに好かれよう」とするほど、あなたの心は疲弊してしまいます。

あなたが誰かに優しくしたとき、
誰か一人でも「うれしい」と感じてくれたなら、
それでもう十分じゃないでしょうか。

好かれる人数を増やすより、
“心が通じ合う人を大切にする”ほうが、
ずっと幸せで、ずっと本質的です。

実際、幸福度の研究でも、
「親密な人間関係の質」が人生満足度の最大の要因だと示されています。

つまり、100人の「まあまあ好き」より、1人の「本当に好き」がなによりも心を満たしてくれるのです。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)