悩みに悩みを重ねているあなたへ。~大阪難波心療内科コラム

◆ 「世界の大半はコントロールできない」

生きていると、思い通りにいかないことばかりです。
天気、他人の気分、会社の決定、SNSでの反応。
冷静に考えれば、私たちが自由にできることなんて、ほんのわずかしかありません。

なのに、どうしても私たちは「なんであの人はあんなことを言うの?」「なんで運が悪いんだろう」と、コントロールできないことに心を消耗してしまいます。

けれど本当は、悩めば悩むほど「自分のエネルギーを他人に渡している」ようなものなんです。


◆ LOC理論「どこにコントロールを置くか」

心理学には「LOC(ローカス・オブ・コントロール)理論」という考え方があります。
これは、物事の“原因や責任の所在”をどこに置くか、という理論です。

  • 内的LOC(内的統制):結果は自分の努力や判断によって変えられる、と考えるタイプ
  • 外的LOC(外的統制):結果は運や他人、環境に左右される、と考えるタイプ

どちらが良い・悪いではありません。
しかし、現代の多くの人は「すべて自分の責任」と抱え込みすぎて、
知らず知らずのうちに不安や自己否定に苦しんでしまう傾向があります。

「自分が何とかしなきゃ」と思う優しさが、逆に心を縛ってしまうことがあるんですね。


◆ 「悩む」より「進める」ほうがトク

悩みの多くは、「どうにもできないこと」にエネルギーを使っている状態です。
他人の気持ちやどうにもならない過去の出来事…
これらをいくら考えても、結果は変わりません。

それなら、その時間で「自分が変えられるほんの少し」を動かすほうが、
ずっとトクです。

たとえば、

  • 気になる人に連絡を取ってみる
  • 仕事のやり方を5分だけ工夫してみる
  • 部屋を少し片づけて、気持ちを軽くする

たったこれだけの行動でも、
「自分の人生をちゃんと動かしている」という実感が生まれ、
不安が少しずつ小さくなっていきます。


◆ まとめ

この広い世界で、完全に自由にできることなんてほんのわずか。
でも、その「わずか」を進める力こそ、あなたの本当の自由です。

そのエネルギーを、「自分がコントロールできること」に少しだけ向けてみましょう。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)