勉強しないと認知症になる!?という話~大阪難波心療内科コラム

◆ 学ぶことは「脳の筋トレ」
「小さいころに勉強した子供ほど、認知症になりにくい」
そんな研究結果があります。
つまり、“学ぶ”という行為そのものが、脳を鍛えるトレーニングなのです。
精神科医であり、ロンドン大学のギル・リビングストン教授による研究では、
「子供時代に教育を受けていない人は、認知症の発症リスクが1.6倍高まる」 ことが報告されています。
これは、学習経験によって脳内の神経ネットワーク(シナプス)が増え、
「認知予備能」と呼ばれる“脳の貯金”が作られるためだと考えられています。
つまり、たくさん学んだ人ほど、脳がしなやかに老化に耐えられるのです。
◆ 「今からじゃ遅い」なんてことはない
こうした話を聞くと、「子どもの頃にもっと勉強しておけば…」と感じる人もいるかもしれません。
でも大丈夫。脳は大人になっても一生変化し続ける臓器です。
これは「神経可塑性」と呼ばれ、
新しいことを学ぶたびに脳の回路がつながり直すことが、数多くの研究で確認されています。
たとえ年齢を重ねても、脳は学習によってどんどん活性化していきます。
「今から始める」のに、遅すぎることはありません。
◆ “学び”の形は自由でいい
学ぶといっても、机に向かうだけが勉強ではありません。
- 新しい料理を覚える
- 見たことのない映画や音楽に触れる
- 趣味で資格を取ってみる
- 読書をして知らない世界をのぞく
こうした“小さな新しい刺激”の積み重ねが、脳を若々しく保つ鍵になります。
脳は新しい刺激が大好きです。好奇心をもって何かを吸収しようとすると、
自然に活性化して、気持ちまで前向きになっていきます。
◆ 学びは、心の若さも保つ
脳を鍛えるというと、つい「知識」や「記憶力」を思い浮かべますが、
実は“学ぶこと”は心の健康にもつながっています。
新しいことに挑戦している人は、自己効力感(自分にはできるという感覚)が高く、
落ち込みや孤立を感じにくい傾向があるのです。
つまり、学び続けることは「生きる力」を保つことでもあるのです。
◆ まとめ:「学ぶ人は、老いない」
学ぶことは、若さを取り戻す最良の習慣です。
子ども時代の教育は確かに大切ですが、
「今から学ぶ」ことも同じくらい、いやそれ以上に価値があります。
脳は、今日のあなたの興味と行動で変わっていく。
本を読むでも、何かを作るでも、新しい言葉を覚えるでもいい。
その一つひとつが、未来のあなたの脳を守ってくれます。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



