優しすぎて損してる人へ~大阪難波心療内科コラム

◆ 「優しさ」は美徳だが、時に自分をすり減らす

誰かに親切にすること。
それは人として、とても素敵なことです。
困っている人を助けたり、誰かの気持ちを察して動ける人は、
社会の中で本当に貴重な存在です。

でも、そんな優しい人ほど、「気づかないうちに損をしている」ことがあります。


◆ 「優しさ疲れ」は“心のエネルギー切れ”

心理学では、他人を思いやる力を「共感資源」と呼ぶことがあります。
共感もエネルギーのひとつで、限りがあるんです。

優しすぎる人は、この共感資源を無意識に使いすぎてしまいます。
「頼まれたら断れない」
「相手の気持ちを考えすぎて自分を後回しにする」
──そんな日々が続くと、いつの間にか心が疲れ果ててしまう。

まるで、スマホを充電せずにずっと使い続けているようなものですので
どんなに高性能でも、電池が切れたら動けません。


◆ 「上限」を決めることで、優しさを長持ちさせる

優しさは、“制限をかける”ことで本当の力を発揮します。

例えば
「一日に10分まで」
「週に1回まで」など

こうした「親切の上限」をあらかじめ決めておくことで、
あなたの心はずっと軽くなります。

これは冷たいことでも、自己中でもありません。
「自分を思いやる力」の実践なのです。


優しい人が抱えやすいもう二つの落とし穴

ここで大事なのは、
「優しい人」と「都合のいい人」は違うということ。

優しい人は「相手を尊重しながら、できる範囲で力を貸す人」。
一方で、都合のいい人は「相手の要求に合わせて、自分を犠牲にする人」。

この境界を自分で引けないと、
あなたの優しさは“利用される優しさ”になってしまいます。

優しい人が抱えやすいもう一つの落とし穴が、
「自分が動けばすべて解決する」という思い込み。

でも、本当に相手のためになるのは、
何でも“やってあげる”ことではなく、
“どうすればいいか一緒に考えること”が大事なのです。


◆ まとめ

優しい人ほど、
「人を思いやること」と「自分を犠牲にすること」の境界があいまいになりがちです。

だからこそ、意識的に“上限”を設けましょう。

  • 一日に10分まで手伝う
  • 週に1回だけ話を聞く
  • 断るときは「また今度ね」と笑って言う

これだけで、あなたの優しさは消耗することなく、続けられる力になります。

優しさを出し尽くすのではなく丁寧に循環させていきましょう

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)