心のためにはモニターの高さをあげるべし!という話。~大阪難波心療内科コラム

◆ 気持ちが沈むと、自然に下を向く

落ち込んでいるとき、私たちは自然と目線を下げ、背中を丸めがちになります。
反対に、うれしいことがあったり自信があるとき、人は顔を上げて胸を張ります。
つまり、心の状態は体の姿勢に表れるのです。

でも実はその逆も成り立ちます。
「体の姿勢を変えることで、心の状態を変える」ことができるのです。
心理学ではこれを身体フィードバック(embodied feedback)と呼びます。
姿勢や表情が脳の感情処理を変化させ、気分や思考に影響を与えるという考え方です。

◆ 目線を上げると、脳が“前向きモード”になる

目線を上げる動作は、脳に「今から前へ進むぞ」という信号を送ります。
視界が広がり、呼吸も深くなり、思考がポジティブな方向へ切り替わりやすくなるのです。

イリノイ大学の研究では、下を向いた姿勢の人はネガティブな言葉を思い出しやすく、
逆に上を向いた姿勢の人はポジティブな記憶を思い出しやすいという結果もあります。
たったこれだけの体の使い方で、思考の方向性が変わるのです。

◆ デスクワークの人は、モニターを上げてみよう

特に、パソコン作業の多い人は要注意です。
下を向いて画面を見続けていると、気分も自然と“下向き”になってしまいます。

そんなときは、モニターの高さをほんの数センチ上げてみてください。
視線が上がることで、背筋も伸び、呼吸も楽になります。
それだけで「やる気が出た」「前向きに仕事できる」と感じる人が多いんです。

小さな変化ですが、脳は「上を向く=行動の準備」と認識するため、
思考もポジティブに引っ張られるのです。

◆ 目線を上げる=心を整えるスイッチ

落ち込んだとき、元気を出そうと無理に励ます必要はありません。
まずは、少しだけ顔を上げてみる。
空を見上げる、遠くを眺める、それだけで心の位置も変わります。

意識的に「目線を上げる」ことは、
言葉よりも早く心をリセットしてくれる、
シンプルで確実な“セルフメンタルケア”なんです。

◆ まとめ:目線を上げて、気分も上げよう

気持ちが沈むときこそ、顔を上げてみましょう。
視線を上げるだけで、思考は前を向き始めます。

パソコンの画面の高さを少し上げる。
スマホを見るときも、顔を下げすぎない。
そんな小さな意識の積み重ねが、
毎日の気分を穏やかに、そして明るくしてくれます。

今日、まず一度顔を上げて深呼吸してみてください。
あなたの心も、少しだけ上を向くはずです。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)