推しの写真を見ると、つらいこともガマンできるという話~大阪難波心療内科マンガ

◆「写真を見るだけでつらさが軽くなる」って本当?

私たちは、落ち込んだときや疲れたときに、
自然と好きな人の顔を思い浮かべたり、
推しの写真を眺めたりすることがあります。

実はこれ、ただの気分転換ではありません。

心理学的にも本当に効果があることが証明されています。

◆ スタンフォード大学の研究が示した「愛の鎮痛効果」

スタンフォード大学の心理学者 ジレッド・ヤンガー(Jarred Younger) らの研究チームは、
恋人がいる男女を対象に次のような実験を行いました。

【実験内容】

参加者に「熱いものに触れてもらい、何秒間ガマンできるか」を測定。

その際に、

  • 恋人の写真を見る
  • 知り合いの写真を見る
  • 中立的な画像を見る

の3パターンを比較しました。

【結果】

恋人の写真を見ているとき、参加者は痛みを最も長くガマンできた
という明確な傾向が出ました。

恋人の写真を見ているだけで痛みがやわらぐのは、
好きな人を思い浮かべたときに脳の“うれしい・安心する”部分が強く働くからだと考えられています。

この「安心感」や「幸せな気持ち」が、
痛みを感じる脳の働きを弱めてくれる のです。

恋人だけでなく、推し・アイドル・キャラでも同じ?

ここでポイントなのは、
脳は「好き」や「安心」を感じたときに鎮痛効果を起こす ということ。

つまり、
恋人がいない人でも大丈夫。

あなたが

  • 大好きなアイドル
  • 推しキャラ
  • ペットの写真
  • 心癒されるアーティスト

を見た瞬間に感じる“ほっとする気持ち”が、
脳の中ではストレス緩和痛みの軽減として働くのです。

心理学では、
ゆるやかな前向きな気持ちが、ストレスの衝撃をやわらげる力になる
ことがわかっています。

好きな人や推しの存在が、心の守りになってくれるのは、この働きのためです。

◆「頑張りたい時ほど推しを見よ」は理にかなっている

つらいことが続いたときほど、
“推しの存在”が心のエネルギーを守ってくれるのは事実です。

  • 職場で疲れたときに写真を見る
  • スマホの待ち受けを推しにする
  • しんどい日こそ動画を眺める

これらはただの趣味ではなく、
“脳を整えるセルフケア” と言ってもいいほどの効果があります。

あなたが好きな人・好きなキャラを見ると、

  • 脳が“うれしいスイッチ”を入れてくれる(報酬系が働く)
  • ストレスホルモンが下がる
  • 痛みや不安が軽くなる

こういった変化が、ちゃんと起きています。

◆ 好きなものの力を、もっと信じていい

「写真を見るだけで元気になるなんて気のせいでしょ?」
と思う人もいるかもしれません。

でも、科学的にはもう答えが出ています。

好きな存在は、あなたを強くする。
支えてくれる。
痛みにすら効く。

がんばれない日があっても、
何となくつらい日があっても、
推しや大切な人の写真を見るだけで心は少し前に進めます。

それは決して甘えではなく、
あなたの脳が持っている自然で優しい働きです。

どうか、大切なものの力を堂々と使ってください。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)