“自分なんて…”と思っても、ちょっと見方を変えるだけで心は軽くなる、という話。~大阪難波心療内科コラム


目次
◆ 「うまくいかない」と感じるときに起きていること
「なんで自分ばっかりうまくいかないんだろう」
「どうせ頑張っても無駄だ」
そんなふうに感じてしまう日は、誰にでもあります。
でも心理学的に見ると、これは意志の弱さではなく、
“心の中のパターン”が動き出しているサインかもしれません。
◆ ネガティブトライアングルという心のクセ
たとえば、うまくいかなかった出来事があると、
私たちは気づかないうちに、3つの方向で自分を責めてしまいます。
- 「自分はダメだ」 → 自己への否定的な考え
- 「周りが悪い」 → 世界・環境への否定的な考え
- 「この先もきっと失敗する」 → 未来への否定的な考え
この3つがぐるぐると頭の中を回る――
これが「ネガティブトライアングル」です。
この思考のループに入ると、
心はどんどん疲れて、現実を正しく見る力が弱まってしまいます。
◆ 「事実」と「考え」を分けてみる
この三角形から抜け出す最初の一歩は、
“事実”と“考え”を分けてみることです。
たとえば「仕事で失敗した」という出来事(事実)があったとしても、
「自分はダメだ」というのは解釈であり、事実そのものではありません。
「緊張していた」「準備が足りなかったかもしれない」と
少し冷静に見直してみるだけで、
“現実”と“感情”を切り離すことができます。
それが、心に風を通すような「思考のリセット」になります。
◆ 人生も、恋愛も、同じ構造をしている
実はこの「ネガティブトライアングル」は、
恋愛だけでなく、仕事や人生のあらゆる場面で起きます。
「振られたのは自分が悪い」
「もう誰も自分を好きにならない」
「恋愛はもう向いてない」
――これは恋愛のネガティブトライアングル。
「上司に叱られた」
「職場が合わない」
「どうせ転職しても同じだ」
――これは仕事のネガティブトライアングル。
違うテーマでも、構造はまったく同じなのです。
でも、人生はサイコロのように、
「何度でも振り直せるゲーム」でもあります。
たとえ“1”が続いても、振り続ければ“6”が出ることもある。
失敗は「終わり」ではなく、「次の一手の材料」なのです。
◆ 見方を変えるだけで、心は軽くなる
考え方の柔軟さを「認知的柔軟性」といいます。
これは幸福感やレジリエンス(回復力)にも深く関係しています。
つまり、「ひとつの見方にとらわれず、他の可能性を探す力」こそ、
心を立て直すための筋肉なのです。
落ち込んだときこそ、
「他の考え方はないかな?」と問いかけてみてください。
ほんの少し視点を変えるだけで、
心の重さは驚くほどやわらぎます。
◆ 三角形に気づけたら、それはもう抜け始めているサイン
ネガティブトライアングルは、誰の心にも自然にできる構造です。
大切なのは、それに気づくこと。
気づいた瞬間、あなたはすでに一歩、そこから抜け出しています。
「自分を責めない」
「少し視点を変えてみる」
「小さな行動を積み重ねる」
それだけで、心の流れは確実に変わっていきます。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)
