老子が語った、仕事や家庭円満のコツ。~大阪難波心療内科コラム

◆ 「大国を治めるには小魚を煮るように」

中国の思想家・老子は、今から2500年以上も前にこう言いました。

「治大国、若烹小鮮(大国を治むるは小鮮を烹るが若し)」

これは、「大きな国を治めるのは、小魚を煮るように慎重に扱うべきだ」という意味です。

小魚を煮るとき、何度もかき混ぜたり、火加減を強くしすぎたりすると、
身が崩れて台なしになってしまいますよね。
それと同じで、人や組織を細かくいじりすぎると、かえって壊れてしまうという教えです。


◆ 「そっと見守る」ことが、最高のマネジメント

老子のこの言葉は、国家だけでなく、
現代の仕事のマネジメントや家庭の関係にもそのまま通じます。

部下の行動にいちいち口を出し、修正を迫る上司。
子どもの失敗を恐れて、つい先回りしてしまう親。

本人は「良かれ」と思っていても、
相手からすれば「信頼されていない」「自由がない」と感じるものです。

心理学でも、人が意欲的に動くためには「自己決定感」が不可欠だとされています。
つまり、自分で選び、自分で考え、自分で行動しているという感覚。
それを奪うような過干渉は、モチベーションを下げてしまうのです。


◆ 現代社会は「混ぜすぎ」ている

今の時代は、情報が多く、スピードが速すぎますよね。
仕事でもSNSでも、「結果を出さなきゃ」「効率を上げなきゃ」と、
つい何もかも管理・分析したくなるもの。

でも、人の心はそんなに早く動かない。
煮込み料理のように、静かな時間の中で少しずつ変化していくものです。

結果を焦らず、相手を信じてそーっと見守る、
その穏やかさが、長く続く信頼と幸福をつくっていくのです。


◆ まとめ──小魚を煮るように、人を育てよう

老子の言葉、「大国を治めるには小魚を煮るように」。
それは、現代にも通じる深い知恵です。

人もチームも家庭も、丁寧に、優しく、焦らず育てることが大切。
細かく指図するより、見守ること。
すぐに結果を求めるより、信じて待つこと。

煮すぎず、混ぜすぎず、ちょうどいい火加減で温める──
その穏やかな手間こそが、関係を壊さずに深めていく秘訣です。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)